まにあわせ blog 卵巣嚢腫捻転ってなーに

忘れないうちの記録です

妊娠6ヶ月で原因不明の腹部痛に見舞われ入院となった妊婦の備忘録

5/10

6:00 腹痛を感じる

8:00 自分で朝ごはんを作って食べる

9:00 症状が増悪。一歩も動けなくなる


ベッドから起き上がれないほどの激痛があると

かかりつけの婦人科医に相談すると

すぐに救急車を呼べ、うちより詳しく診れる病院へ行けと提携先の病院を紹介される


10:00  救急隊員が到着 

3人がかりで運ばれる、ツレ氏も付き添う

救急車の中では痛みでろくに応答できない状態

朝ごはんの内容を質問される。しっかりめに食べたので食い過ぎと誤解されないか心配をする

ライ麦パン、卵焼き、セロリ炒め、バナナ、ヨーグルト )



10:20  K病院着 すぐ体温測定→ 37.3度


超音波検査により胎児の生存を確認。

虫垂炎を疑われ緊急手術の可能性を示されつつ

CTMRI、血液検査、尿検査

妊婦は積極的に受けたくない検査もあるが背に腹は変えられない状態

この間、痛みで歩けないので車輪付ベッドを駆使して各検査室に運ばれる

MRIは密室の20分拘束状態、工事現場の様な不気味な大音量に反応してお腹の子が暴れだす。

機器の中とお腹の中、双方でドコドコが始まり気が狂いそうになる。

無意識に右手が緊急ブザーを鳴らし、技師が慌てて飛んでくる。

結局、虫垂炎は見つからなかったが

明らかに何かあるが確定できないと医者が数人寄ってざわついていている。言葉を拾うと

「熱が高い」「緊急手術の場合」「再度、婦人科へ」「子宮でよく見えない」「CTの検査を元に更に検査を詳しく」「何かモヤがある」


15:00  重ねての超音波検査の結果、卵巣が6センチと大きく(一般的には3センチ程度)腫瘍と捩れの疑いを説明される

卵巣が捻れて血栓があれば開腹手術になる

もし最悪血栓なら卵巣の壊死、一刻を争う。

どうすりゃいいのかすぐさまジャッジして欲しいが、既に子宮がかなり大きい妊婦は卵巣も診づらく確定診断が難しい。さらに手術もリスクが伴うため、慎重に経過観察入院....   

こんな面倒な災難は、せめて妊婦じゃない時に来てくれと泣きそうになる。



血液検査などから、今すぐ手術という状況ではないとの事。

特段の治療法もない様なのでいっそ家に帰りたくなる。なんとか入院しなくて済まないか聞くが、色々と状況がやばそうなので断念する。

コロナにより面会禁止で家からも遠くアクセスの悪い病院、仕方なくパジャマやら有償アメニティーを申し込む


17:00 入院前のPCR検査

陽性の場合はどうなるのかと怯える

「入院以降は面会禁止なので、ご主人と会える最後の時間はPCR検査結果が出るまでの1時間です」

と医師に伝えられる。

コロナ渦の孤独な現実がお腹の痛みに増幅してのし掛かる。

ちなみにツレ君は転職し今日が初出勤日だったのだが、この事件により初日から欠勤という不運な結果になったのであった。



18:00  PCR陰性により入院決定

もし陽性なら病院から追い出される事実を聞きゾッとしつつ大部屋に着く

人生初の入院。この騒動により朝食しか食べていないが、もう夕方だ。病院食が出されるのかと期待するも栄養は点滴のみとの事、淡い期待すら打ち砕かれる辛い現実を直視する。


19:00 入院計画書をもらう

病名には「卵巣嚢腫茎捻転疑い」と記載

入院予定は1週間。マジかよ早く帰りたい

担当看護師が現れる。話す雰囲気は魔女の宅急便ウルスラだ。敬語もあったりなかったりでサバけてはいるが、本気で相手を心配し接する姿勢は伺える。


19:30 お腹の張りが顕著になる

ウルスラ似の看護師に言うと慌てて触診され張りを抑制する薬を飲まされる。張りは子宮の伸縮であり胎児が今産まれたら大変なので、侮ってはならないとの事。

看護師の予言通り、副作用の動悸が激しくなる。

元々、妊娠中期から息切れや圧迫感が辛かったが妊婦の特性と思っていたと話すと、通常は今のお腹の大きさでそこまでにならないはずと看護師は述べる。これらの予兆だったのかもしれない。


20:00  相部屋の女性がゲボゲボと吐き続け、部屋中に響き続ける。吐くご本人が一番気の毒だが、精神的に聞いてる方も辛くなる。帰りたい。産婦人科なので吐きづわりの酷い妊娠悪阻なのかもしれないな...と想像する。


20:30  看護師がお腹の張りや胎児の心音を気にし、計測の機械を持って現れる。わりと頻繁に顔を出してくれるが、看護師なんてナースコールで現れるものだと思っていた。

不穏な病気疑い ×    妊婦 なのだから

ヤバさ倍増で目が離せないのかもしれない。

張りの状態次第で点滴の内容も変えると預言しウルスラはまた消えた。


20:50   ぼんやり今日1日を振り返り、iPhoneのメモに記録する。

チョコレートぐらい持ってくればよかった。

点滴で栄養は問題ないとはいえ何かしらの甘さや娯楽がなければ退屈を超えて軽く絶望しそうだ。


どこかの検査の段階で、妊娠しているから辛いと看護師に溢すと「例え妊娠してなくてもこの状態は相当、辛いですよね」と返された事をぼんやり思い出す。

痛いわ動けないわ治療の目処たたんわ家族にすら会えないわ。確かに私個人、単体としても辛い。

ただ、どうしても今の私が一番心配なのはお腹の子供だ。卵巣が膨れて捻れてどーのこーので、この子に何かあったら。想像しては涙が溢れる。


お腹が痛い。ずっと痛い。寝返りすらマトモにうてない。朝から救急車搬送で、そういえば歯磨きもできてない。

元気になれば家に帰っていいと言われたが、こんな状態で元気だと説得するのは難しいだろう。


つい2日前に猫の去勢手術をしに動物病院を2往復した。手術後は、化膿しないか排泄できるか、猫の心配ばかりしていた。

自分がこんな事になるなんて。

帰宅したツレ君から、エリザベスカラーをつけた猫の写真が送られてきた。

元気そうに見えてほっとしたが、猫も今は毎日抗生剤を飲ませないといけない。

猫の世話をくれぐれもよろしくとツレ君に伝える。


21:30  完全消灯の時間。

看護師に依頼しベッドのまま歯磨きをさせてもらう。お腹が張れば深夜でも知らせてと念を押される。

そういえばコロナ以降、外泊は初めての事。故郷に帰りたい、温泉に行きたい。そんな世の中ではないと諦めていたのに、こんな形でお泊まりになるなんて。


私の明日はどうなるのだろう。

孤独感と絶え間ない痛みに呆然とするが、唐突にお腹の子は動く。ここに家族がいるよ、と聞こえた気がした。