まにあわせ blog 卵巣嚢腫捻転ってなーに

忘れないうちの記録です

妊娠6ヶ月で原因不明の腹部痛に見舞われ入院となった妊婦の備忘録④


5/13    入院3泊4日め


6:30 目が覚める。夜中、一度も起きなかった。

腹部の痛みはかなり引いている。鈍い違和感はあるがー 生理5日目の朝という感じ。


7:00  抗生剤と鉄剤の点滴。お腹すいた。

小学校の養護教諭のよーな落ち着いた看護師が雑談する。「先生もね、帰りたい帰りたいって泣いてるのに帰してあげられなくて、かわいそうだって悩んでいたのよ。」

私は山に帰れないハイジか....

しかし気持ちは伝わっている様だ。正確には帰りたいと泣いたわけではないが、初日は搬送時から検査・入院までずっと涙目にだったのは覚えている。腹部の激痛とお腹の子供の心配と、根本的な治療の無いもどかしさに足元から崩れていく様な不安があった。

少なくとも今、激痛はない。それは確かだ。



8:00  朝食  また何で白ごはんを進めればいいのか分からないオカズ。ぷよぷよしている。作家友達に写真を送ったら「これは一体、何を食わされてるんですか?」と聞かれる。私にも分からない。


9:00   Y本先生が現れる。

現状について改めて質問→ 卵巣嚢腫捻転の疑いではあるが、確定診断出来ていない。例えば妊娠によって腹部の靭帯が一時的に裂傷したり血液に滞りが生じた、などであれば、現在は痛みは引いているので腹を開く必要はない。出産までは出来れば手術なしで逃げ切りたい。卵巣の大きさが変わっているかもしれないので、明日、超音波検査と血液検査で結果を見ようとの事

「今日!今日検査しないんですか?」「そんなに、毎日は検査しないんですよ」

そう、なのか.... 帰りたい一心で前倒しを切望してしまう。

もしまた今後も激痛で救急搬送されたらどうすればー? その時は腹部切開、手術という事だ。

痛みが薄らいだので鎮痛剤カロナールは頓服として使用になった。

カートを押しながら「ゴロゴロ〜」と去っていくのが印象的なY医師。とても質問しやすいので助かる。


10:30  移動販売

「梅干しはありますか?」ダメ元で聞くと「ありますよ」えー!あるの!!

「皆さん、病院食のオカズが...ゴニョゴニョ...で、よく売れるんです。」

3食白ごはんでススまないオカズの日々は、私だけでなく皆が苦しんでいるのだ。

梅干しと胡麻昆布、カロリーメイトとチョコレートとお茶と水を買い込む。割高ではあるが外界と断絶された孤島なので仕方がない....

今お金使わなかったらいつ使うの?というぐらい私の精神はすり減っている

しかし小さなペットボトルばかり買ってたら1日で結構な散財だ。妊婦は異常に水を飲む。しかも今は全然稼げてない日々なのだ。

「2リットルのお茶か水はありますか?」

「はい。申し込めば持って来れますが」「是非!!」「でも最短で明日ですね」

えー。マジかよ。売店本拠まで何kmあるのよ。

移動販売が1往復なのは、多分コロナ的な規定なのだろう。売店もコンビニも立入禁止、面会禁止、唯一無二の自販機は冴えない飲料と缶コーヒーばかりで階下の自販機利用すら禁止、もはや隔離病棟状態だ。

使用できる自販機には冷たい飲料のみ。せめて熱い珈琲や紅茶くらいは飲ませてくれ......

「出産者専用」って部屋には熱い紅茶やら飲める電気ポットとティーセットあるが、この気の毒な妊婦にも有料でいいから解放して欲しい。

妊婦には温かい飲み物が推奨されるのに... 

こうなるとわかってたら家から電気ポット持ち込んだのに。ああ。もう。帰りたい帰りたい帰りたいよー。ぴー!キー!

となるのは単に辛抱弱いだけでなく、つい先日まで重く長いつわりに苦しめられていて、間髪入れずに次の刺客「救急搬送〜卵巣嚢腫入院事件コロナ渦編」だったので、およそ5ヶ月に渡りストレスが蓄積され続けているのだ。


11:00  検温、血圧検査、心拍検査

赤子は今日も元気な鼓動を刻んでいる

「随分と変わりましたねぇ」と看護師に驚かれる。何しろ初登場がボロボロ満身創痍の寝たきり状態だったので、平然と歩いて普通に受け答えするだけで驚愕されてしまう。


12:00  昼ごはん。シャケが出たのは嬉しかった。醤油と大根おろしが欲しい


14:30  暇でウロウロしてたら久しぶりにウルスラに似た看護師に会う。

「元気になってきてよかったねぇ!」

4回目の妊婦検診をここで出来ないか相談。


16:00  シャワー 


16:40  シャワーを浴び、自室でボケッとしてたら男性医師が現れる。痛みはどうかと聞かれ、生理痛で言うとほぼ5日目後半で、ほぼ痛くないと伝える。

いかにも権威のありそうな風貌なのだが、あなたは誰?と聞けなかった... どこかでみたような....  後で他の人に聞こう


17:00   助産師さんが現れる。

「さっき来られた先生は?」

「えっ、元々あなたのかかりつけの◯レディースクリニック院長のS先生よ」

「えっ?!!」

嘘、そんな。いつもお世話になってる先生を、私は分からなかったのか... 

やっべ... なんでS先生が、K病院にいるんだ?!

「まさか...私を心配して来られたとか...?

「そうそう。来た時にあなたはシャワー浴びてたから、待ってたのよ。」

ひえ〜。明らかに、誰だっけこのひと、みたいな顔しちゃったよ...トホホ....  

マスクのせいで、たまに会う人の顔を覚えるの輪をかけて苦手なんだよなぁ....

しかし私の様子なんて産婦人科に電話一本かければ済むだろうに、そんな義務感と温情のある医者が世の中にいるのか。

慌ててお礼とお詫びのメールをクリニック宛に送った。


18:00 夕食。お肉が少ない

移動販売で買った梅干しと昆布を乗せて、しかも食後にカロリーメイトを食べてしまった


19:30  抗生剤の点滴


隣接する出産室で、陣痛に苦しむ声の後、赤ちゃんの産声が聞こえた。

この日、出産があったようだ。めでたい。

ただ複数の赤子の泣き声が何時間も響き渡り、朝方まで眠れなかった....産婦人科に入院している人の宿命なのだろうか。

赤子の壮絶で気が狂いそうな泣き声も、4ヶ月後には他人事でなくなるのだー 想像すると怖い。

それでも多分、初めて聞いた時は感動するんだろうな。生命の塊みたいな叫び声。