まにあわせ blog 卵巣嚢腫捻転ってなーに

忘れないうちの記録です

妊娠6ヶ月で原因不明の腹部痛に見舞われ入院となった妊婦の備忘録 ③

5/12




0:00  トイレで少量の茶色い出血を確認。

一瞬ギョッとするも、鮮血ではない為、経膣エコーの影響だろうと判断

夜中から明け方にかけてお腹の張りと痛みで数回起きるも、やがて落ち着く

腹痛により寝返りは痛いが、「ギャー!」から「うぐぅ...」ぐらいに痛みの程度が下がっている事を実感する


7:00  起床。採血、血圧測定、点滴を刺される。今日から栄養・鎮痛剤の点滴が無くなり抗生剤のみとなる

薄々気づいてはいたが、多くの看護師に驚愕されるレベルで私の血圧は低いらしい。他のクリニックでは3度も測り直しされた。プロが目を見張るほど血圧の低い自分が心配だ


7:30 お腹がすく 

昨日まで食事の悪口ばかりの口が言うのもなんだが、どんなでも早くご飯を食べたい

看護師が現れ、ご飯かな?!と思ったら点滴を見に来た様子だ。点滴終わらないとご飯貰えないのかな....


8:00 朝食  点滴終了

ケチャップオムレツ、白ごはん、味噌汁、牛乳、

人参のシーチキン和え。

ケチャップをメインに白ごはんを食べない私には辛い...  納豆か海苔か梅干しが欲しい.... 

欲を言えば何か焼き魚が欲しい....

どうしてもケチャップオムレツにするならパンがいい.... 等と献立に納得できないでいるが、お腹の子に栄養を摂らなくてはと箸をすすめる。

しかしご飯がススマナイくん、白ごはんを残してしまう。齢33にして、病院食の辛さを知るー


普通の朝ごはん食べたいな...

食後の牛乳(ぬるい)を飲みながら、また退院願望が強くなる。


9:00  初めて男性医が現れる。

産婦人科Y本医師、熱心快活。

(これまで会った各科の医者、担当医、看護師皆が女性だったので初めて男性に会った印象)

お腹の痛みを確認される。自分の状況を再確認組織に何か起きたのは間違いないが断定ができない。自然修復できるに越したことは無い。極力切らない方向で!

痛みがゼロにならないと退院できないか質問

ゼロでなくてもいいが血液検査の数値なども見て検討しようとの事。お腹の赤ちゃんは元気そうだからね!と言われてホッとする。


9:20  産婦人科医の女性が現れる

初日から診てくれた、円メガネで丸い体格が親しみやすく覚えやすい人だ

「こんな知らない人ばかりのところで治療もハッキリしなくて入院なんて辛いよねぇ。そりゃ早く帰りたいよね。ごめんなさいね。」とと内診前に謝られたのが印象的だった。

なんとなく自分が医療に不慣れな帰巣本能の高い野生動物になったような気持ちになる

ご飯を食べて良いと判断をしたのもこの医師だった


9:30  担当医が現れる

入院したがらない退院したがるの私をゆっくりと諭す学級委員の様な女性。

血液検査の炎症値、CRPが7から6に下がったとの事。「良くなったんですね、帰れますか?!」聞くと「普通は0なんですよ、この数値。」

ガーン....  

朝、初めて男性医師が来たことを告げると「Y本先生はずっと心配してたんですよ」との事。知らなかった。

「医者は皆、初日から○○さんの事を知ってるのでご安心ください。」

皆が私を知ってるのか...。救急搬送で妊婦で動けなくて原因不明で次々とあらゆる検査をしたのだから、割と印象的な登場で、かつ様々な医師が次々と関わらざるを得ない状況だったのだろう。


10:30 移動販売が現れる

昨日とは別の女性だ。コロナ以降、特に妊婦は売店をはじめ外部には出てならないとの方針らしい。歩けるようになってもコンビニすら行けないのか...ガックリする私を横に「必需品は、アメニティーセット(有料)で揃いますからね〜!」と言ってはくれたが、蓋を開けばマスクも下着も靴下も化粧水なども無く1日1300円なので、割りに合うとは思えず今日迄で解約したのだった。

フォークやスプーンなんて何に使うんだろ...

移動販売では爽健美茶といちごチョコとダースを買えて嬉しかった。


10:45  貧血という事で鉄剤が点滴される。

貧血と言われたのも人生初。

点滴を終え、昼前にまた体温と血圧測定。


しかし、午前中だけで医者は3人も来たし、看護師は2名が3回来ている。普通、こんなにも次々と来るものなのだろうか。なんだか私は多い気がする....それともこの病院の方針なのか。

無論、ほったらかしにされるよりずっと有難い。


12:00  昼食。鯖の切り身が出たので少しホッとする。カットしたリンゴが一番美味しかった。


しかし吐き悪阻の人と同室はどうにも辛い。食べながら寝ながらゲロゲロを聞かなきゃならない。イヤホンの音楽をも乗り越えてくる。向こうだって普通に食事してる人と同室は嫌なんじゃないか。気が弱いので病室変えてと言えないが、私以外は皆、吐き悪阻の様である...


前向きに言えば、窓際の角っこなのは気に入っている。換気が良くて風がよく通る。出窓特有の置きスペースもちゃっかり使えるし。


12:30  荷物が届く。iPadにオフラインで聴ける音楽が入っている。イヤホンも貸してもらえて良かった。


15:30  相部屋の人が目前で吐く音が辛く、何度も休憩室にいく。

部屋移動の相談をしたいが... 医師が突然体調不良で早退したとかでナースセンターは大変そうだ...


15:40  相部屋の方が吐き続ける音が限界になりダメ元でナースセンターへ。音が辛く殆ど部屋にいられない。ご本人が一番辛いのは理解している。私はつわりの症状がやっと落ち着いてきた所だが、吐く音を一日中浴びているとつわりがぶり返しそうで距離を取りたい。という内容を、丁寧な言葉かつ死にそうな顔で伝えた。(入院した時から悲壮感がすごいと何人かの看護師に言われており演技ではない)


その後、他の部屋に移動することになる

とてもありがたい。嬉しい。

新しい部屋も窓際の角っこだった。


16:30  シャワーの時間。水圧と温度が高いので下手な銭湯のしょぼいシャワーより気持ち良い。

ただ、毎日お湯を溜めていたので湯船が恋しい。


17:10  薬剤師が点鼻薬を持ってくる

入院以降、鼻呼吸が出来なくなったので助かる


18:00   夕食 モヤシが美味しかった

食後に痛み止めカロナール500一錠


19:30   抗生剤の点滴

担当看護師に「また卵巣嚢腫が捩れたらどうするんでしょうね?」と言われ不安が倍増する。


医師は嚢腫自体悪いものではないと初日に説明していたがー 調べると6センチ以上の嚢腫は捩れる危険性が高くなる為、手術での切除が基本らしい。(捩れると救急搬送される激痛、卵巣の壊死切除、お腹の子供にも悪影響となる)

その為、妊婦の場合は16週までに手術で切除するケースが多い。私は既に21... 手術推奨期限から1ヶ月以上も超えると子宮もお腹も大きい。

そもそも妊娠初期に発見されて経過観察が多い様だ。私は検診もきっちり通っていたが、21週になるまで医師は気づかなかったのだろうか。あるいは最後の検診から急速に肥大化したのか?

この辺を明日、医師に確認したいと思う。

(ただ救急搬送先の医師に過去の責任はない)


卵巣嚢腫にも幾つかの種類があり、皮様嚢腫は再発しやすいらしい。別名「奇形嚢腫」。聞き覚えがある

キケーノーシュワノヨ!名作ブラックジャックの、ピノコである。皮様嚢腫という呼び名は産婦人科で使用されることが多く、「皮膚のような嚢胞」というのが名前の由来。中身は人の一部が入っている。脂肪、毛髪、皮膚、骨、歯、目など。

受精もしていないのに、卵子の元が勝手に分裂を始めてしまい、結果、人体のいろいろな部分が中途半端にできてしまうそうだ。

なんて健気でトンチンカンな子なのかー。

そこに意思はなくても紛れもない自分の細胞であると思うと、可哀想に思えた。

積極性は認められるが完全にタイミングを間違えている。

もし手術で切除した時、私はそれに対面したいと思った。

ニコタマという漫画で主人公の卵巣がやはり嚢腫で切除されるのだが、出てきた「袋の中身」を愛しく感じ部屋の中に飾る主人公に対し、夫は気味悪がり、結局は土に埋めるという印象的なシーンがあった。今の私は断然、主人公寄りの心境になっている。

せっせと勝手に分裂をして嚢腫の中身になってしまったのは、ウイルスでもバイ菌でもなく「子供になれなかった自分の卵の成れの果て」なのだ。

手放しに責められないし憎むことまできない。



21:00  嚢腫を調べ続け、疲れて目を閉じる

入院3日めは、隣人の吐き音に怯えずに眠れる初めての夜。